ブログ|JIZAKE漁火

  • ご予約
  • Reservation
新着情報

憂鬱な季節

日中は半袖でも大丈夫なほどに、日増しに暑くなり、これから蒸し暑くなっていく嫌な季節になってきました。毎年、この時期は憂鬱な気持ちになります。

というのも、毎年我が家には、あれが出るんです。

それは、決まって蒸し暑い夜、どこからともなく、足音ひとつ立てず、部屋に現れるのです。昨年は最悪にも、ベッドで寝ているとき、ふと気付くと足元に現れたことから、しばらくは軽い不眠症に陥りました。

我が家にとって、それは平和な日常をかき乱し、恐怖という名の奈落の底へと引き落とす厄介な存在で、毎年悩まされています。

それが現れた場合、手を合わせ、目をつむり、念仏を唱えたとしても、退散してくれる訳にはいかず、いつまでも家のどこかで彷徨い続けるので、落ち着いて眠れません。

すーっと我々の視界から消えるように逃げたとしても、一家総出でそれの居場所を探します。見つけたら、即座に、この世からあの世へと葬り去らなければなりません。

それはへたに刺激させると、無数の触手を動かし、鋭い牙をむき出しにして、我々生身の人間に襲い掛かり、実際に危害を加えるので、扱いには注意が必要です。

この時期に先だって、我が家では、家の周囲に白い粉を撒くという、魔除けのような儀式を行います。これは確かに効果はあるのですが、完璧ではありません。中には、人間の英知を結集させたこの白いバリアーを、あざ笑うかのようにかいくぐり、侵入してくるツワモノがいます。

こうしてパソコンに向かっている今でも、ふっと後ろを振り返ったら、それが私を見つめていた。なんてことも思わず考えてしまいます。

あぁ憂鬱です。我が家には毎年出るんです。それが…

ムカデが…

 

 

カリカリチーズ

久しぶりの投稿になります。

こと5月に入ってからは、毎日忙しく、オーダーに追い立てられる日々が続いており、体力も消耗ぎみ。家に帰ってからは、まずいことにスカパーでやってた「まどかマギカ」の一挙放送を見てしまってからというもの、その陰鬱ムードに脳みそがおかされ続けています。

このように、ここ1,2週は心身ともにダウナー状態から中々抜け出せず、ふと鏡を見ると、首すじに魔女の口づけが、なんてことにはなりたくないので、なんとか気をとりなおすべく、メニューの紹介をしたいと思います。

こどもから大人まで、大変好評で、お酒のつまみとしてピッタリなのが、カリカリチーズです。これはその名の通り、チーズをカリカリに焼き上げたものです。よくグラタンなんかで器の端っこの方に、焼けたチーズがこびりついているのがあるじゃないですか。あれっておいしいですよね。あれをメニューにしたのがカリカリチーズです。

作り方は大きめのテフロンコートのフライパンにスライスチーズを並べて焼くだけです。

こう聞くと簡単そうに思いますが、やってみるとこれが意外と難しいんです。普通にやるとチーズがどろどろに溶けてしまって、見るも無残な料理になってしまいます。

ポイントは火加減。フライパンが冷たい状態からチーズを並べて、ふたをして、ごく弱火でじっくり時間をかけて焼くと写真のようにきれいに出来ます。火が強いとどろどろになったり、焦げ臭くなるので火はできるだけ弱くします。片面が焼けたら、へらなどでひっくり返してもう片面を焼きます。だいたい20~30分かかります。

あとチーズの種類もポイントでしょう。チェダーなどの固めのチーズを使います。

似たようなもので、グリコが出している「チーザ」というお菓子がありますが、あのパッケージの表記でいえば、このカリカリチーズは「100%」ということなので、あれよりも濃厚なチーズお菓子といえます。

このように家庭でもできるので、ぜひ挑戦してみて下さい。尚、作るのに時間がかかるので、お店で注文されるときはお早めにお願いします。

 

外国人客 悪戦苦闘記1

ときどき、近くのゲストハウスでの紹介もあり、外国人観光客が来られます。

毎日接する訳ではないので、英語が耳に慣れなくて、毎回苦労することになってしまいます。

まず第一に英語のメニュー表を用意していないので、たいていはこちらのオススメを3,4品か提供することになります。英語のメニューを作りかけたこともあったんですが、途中で嫌になってしまってそのままです。

海外で外食されたり、国内でも本格フレンチなんかで経験がある方もおられるかと思いますが、あの長ったらしいメニュー名にウンザリしたことはないでしょうか。例えば、ひややっこを正確に英語でメニュー化すると、chilled Tofu with ginger , dipping soy sauceでしょうか。日本語では「冷奴」の2文字で事足ります。漢字文化偉大なり。

ちなみに豆腐はTofuで通用しますし、うどんもUdonで、刺身もSashimiで結構通じます。「長芋の明太子グラタン」や「豚の角煮おかゆソース」なんか英語にしようとすると発狂しそうであり、うまく英語にできたとしても、やたら冗長なメニュー名となり、ミステリアス極まりない料理に写るはずです。

それから日本酒の銘柄を全てローマ字にしてみると違和感ありありです。「Tuki no Katsura」「Hakkaisan」そうでしょ。「Kubota」なんか企業名になってしまいますし。

そういうわけで、飲みもの、料理は口頭で伝えることになり、おすすめの料理を出すにあたって、まず「生の魚が食べられるか」を確認することになります。ほとんどの方が刺身が食べられますし、箸の使い方も上手なんですが、日本人なら誰でもできる、絶妙なバランスで、わさびを適量つけ醤油を適量つけて食べられる方は少ないですね。わさびが多すぎたり、醤油をべっちょりというのが散見されます。

おすすめする料理ですが、「お造り盛り合わせ」の他に「手羽先餃子」「ぶりかまのスモーク」「牛しゃぶサラダ」「揚げ出し豆腐」なんか無難でたいてい満足頂いています。間違っても「馬刺し」はお出ししません。

さて、合い間のフリートークですが、これもたいがいパターン化されていて「どこの国から来たか」「日本へ来て(京都へ来て)どれくらいか」「どこの観光スポットへ行ったか」といったところです。かといってペラペラしゃべれる訳でもなく、文法も無茶苦茶で後になって赤面することも多く、適当な単語をつなげて何とかなるもんです。下手にきれいな英語を予習して対応すると、その後マシンガンのように返ってくるので、「私は少ししかしゃべれませんよ」ぐらいに思わせるのが、下手なりのコツです。

まあ今まで、ベロンベロンに酔っ払って悪態をついたりするような人は皆無なので大いに助かってると思います。今後も良き旅の思い出となるように、京都にいい印象をもてもらうようにお世話したいと思います。

 

♪はくつ~る♪

おすすめの日本酒の紹介です。

白鶴といえば、灘の有名すぎる大手蔵ですが、その白鶴からコアな日本酒ファン向けに発売されるのが、「荒駒」です。

純米酒でしかも生原酒、酒米には白鶴が独自に開発した「白鶴錦」を使用するというスペックもさることながら、発売日に蔵元から直接、店にクール配送してくるという手のこりよう。

さっそく試飲してみると、生酒独特のフレッシュな甘酸っぱさが感じられ、原酒ならではの濃い、しっかりとした旨味がおいしいです。

料理にも合いますが、あてなしで、これ単独でもいけそう。原酒なんで度数は少し高めです。

期間限定、無くなり次第終了ですのでお早めに。

雨後のタケノコ

日に日に暖かくなり、自宅裏の竹やぶにもタケノコが出てくる季節になりました。

また今年もタケノコづくしのメニューを始めます。

木の芽和えや若竹煮、天ぷら、鶏肉との冶部煮(写真)の他にも試行錯誤しながら、研究中ですので、いいのができたらメニューにのせたいと思います。

個人的には天ぷらが一番お気に入りです。

 

酒がなくて何のための桜かな

皆様、季節の変わり目で体調崩してませんか?

ここ数日、日によって、また同じ1日の中でも、気温が急変化する毎日で、私は体調が芳しくありません。おまけに「爆弾低気圧」という、ひどいネーミングセンスのものがやってくるし。普段の服装、店のエアコン温度設定に迷う日々が続きます。

こんな気温の変化を経ながら、桜の季節がやってきました。きれいですねえ、ワシントンの桜。

嵐山の山桜も非常にきれいですが、今年は開花が少し遅れているようで、店の近辺でもまだ、開花しかけくらいです。

「阪神競馬の大阪杯の週が一番桜の見ごろで、翌週の桜花賞のときには散りかけている」というのが、私の中での認識であって、そういう競馬番組を中心とした季節認識に照らしてみても、今年はやっぱり遅いです。いちいち平年の開花時期は?と調べるまでもありません。

これからがお花見のシーズンということで、店で置いている日本酒より、いくらかセレクトしてみます。

左より、大七、石鎚、黒牛。いずれも常温でも、ぬる燗でもおいしく、冷やでもいけると思います。花見にはやっぱり外気のさまざま温度に対応できるタイプがいいですね。それでいて、辛すぎず、桜のようにほのかに香り、味は芳醇といったところでしょうか。

しかし、難儀なのは瓶詰めだと持ち運びに不便で、お酒は紙パックで十分という人もおられるでしょう。総じて紙パックのお酒って安さ重視で作られているようなところがあって、こういうおいしいお酒の「紙パック入り 花見限定版」といったものが売り出せれば、もっと日本酒が広まっていくと思います。

常温のお酒といえば赤ワイン、ロゼワインも花見にはいいと思いますよ。ってこれも紙パック入りは安物ばっかりか。

 

 

もこずキッチン

速水もこみちが気になる。

数あるテレビの料理番組でも異彩を放っているのが、平日早朝にやってる、もこずキッチンである。

彼が実際にレシピを考えているかどうかなんていうのはどうでもいいんですが、その立ち振る舞いが引っかかる。

他の料理番組と見比べるとよくわかるように、作業がいささかオーバーアクションである。塩を振る、肉を裏返す、最後にトッピングをするといった単純作業がいちいち大げさである。

それに他の料理番組の先生は終始背筋を伸ばして料理しているのですが、もこみちくんはやたら前かがみである。ってあの作業台、低すぎないか?背が高すぎるのか、それとも眼が悪いのか?腰を痛めそうで心配である。

まあ、見方によってはワイルドっちゃあ、ワイルドにも見える訳で。かっこいいっちゃあ、かっこいいということで。これからあんな風に料理してみようかな。見てくれる人がいるか知らんけど。

ところで彼はいったい何を目指しているんでしょう?

 

ザルコシスティス・フェアリー

昨年、焼肉店でのユッケによる食中毒事件をきっかけに、牛肉の生肉を提供するには非常に高いハードルが課せられました。

実質、出すなと言われているようなもので、保健所への届出が必要であったり、タバコのパッケージに書いてあるような注意書きをメニューに表示する必要であったり、ユッケ専用の調理スペースが必要であったり、今後ユッケを食べる機会はほとんどなくなっていくでしょう。

その代わりとして、注目されているのが馬肉で、生食でも安全ということで、当店でも以前から馬刺し、馬肉ユッケなどメニューに載せており、大変好評頂いています。

しかし、昨年、馬肉からもどうやら健康を害する寄生虫がいることがわかってきたようです。

それが「ザルコシスティス・フェアリー」という寄生虫で、症状は軽いのですが、嘔吐・下痢などが引き起こされるそうです。

しかしこの寄生虫は冷凍すると死滅することがわかっています。当店でお出しする馬刺しやユッケは、全て熊本の馬刺し専門業者さんから仕入れており、流通、および店での保管は冷凍状態であります。

安全なものを調理していますので、安心してご賞味ください。最近焼肉屋でユッケを食べていないという、生肉ファンもきっと満足頂けるかと思います。

 

WIN5と所得税

「もし宝くじが当たったら何に使う」っていうのは、酒の席であろうとなかろうと、盛り上がる話のテーマの一つでしょうけど、宝くじの他に、競馬では昨年から5レースの単勝を当てるWIN5という馬券が発売され、これは最高2億円という宝くじ級の配当が売り物です。しかし、もし万が一、2億円が当たったとしても、非課税の宝くじとは異なり、一時所得として税務署に申告しなくてはならない。

こんなことを書いているのは、確定申告のシーズンであるからであって、WIN5が当たったからではなく、ましてや宝くじが当たったからでは決してありません。

ちなみに毎年確定申告の書類作成には、国税庁のホームページにある申告書作成コーナーを使っているんですが、ためしに一時所得の欄に2億円と入力してみると、自動で計算してくれて、納税額が約3600万円という結果が。つまり、もしWIN5で2億円が当たった場合、その2億円を何に使おうと考える前に、まず納税分を残しておかなければならない。

「そんなもの当たっても黙っとけばいいだろう」と思うかもしれないですが、WIN5ってインターネット会員でしか購入することができない馬券で、言い換えると個人を特定できる情報を送っている会員でしか購入できないということで、要するに誰が2億円当てたかがバレバレな訳です。従って黙っているわけにもいかず、キチンと申告した方が無難と言えます。

そう考えると、このWIN5というのは、国の税収対策の一環イベントのようにも思えてくるわけで。まあ1回も当たったことがないので、そんな心配する必要ないんですが、少しはこの確定申告の時期にそんな心配をするほど、高配当を当ててみたいもんです。

 

 

震災から1年

あの震災からちょうど1年が経ちました。

当店では主に三陸地方のお魚を仕入れてきていたので、この1年大きな影響を受けました。幸いにも仕入先である宮城県塩釜市は、あの辺の大きな漁港の中では唯一大きな被害を免れました。気仙沼や石巻、釜石、宮古などの壊滅的な被害に比べれば、被害は少なく、漁港も早くに復興しました。日本三景の一つ、松島が防波堤替わりに守ってくれたんだと勝手に思っています。

しかし、肝心の漁師さんが亡くなり、漁船も流されているので、漁獲量が激減したので、お客様には大変迷惑をかけることになり、生牡蠣がメニューに載せられなくなりました。

魚が少ないながらも、今後も継続して塩釜から仕入れるつもりですし、これは単に店と取引先との関係というのだけでなく、この地方の産業の復興という祈りも含まれています。

だって三陸沖というのは世界の主な漁場の一つであって、漁獲量だけでなく魚の質という意味でも優れているのは、これまで仕入れてきた経験から実感としてあるのです。このままこの宝の海を見捨てる訳にはいかないです。

産業が復興しないことには、街は復興しません。魚が数多くとれることから漁港ができ、そこに加工工場ができ、市場ができて、そこに人が住むようになり、街が出来上がっていきます。

道路を整備し、家を作っただけで、はいそこに住みなさいと言われても、仕事がなく、ただ冬が寒いだけの所に誰も人は住みません。

震災に関してもう一つ、震災のがれきの処理がほとんど進んでいないとよくテレビでやっていますね。なんとか全国の都道府県でがれきを受け入れて、処理してあげたいというのは心情的にはわかるんですが、一方で現実として、おそろしく金と時間のかかる話だなとも思います。

みんなあのがれきをどうやって分散させようか、頭を悩ませているようですが、逆転の発想で、岩手、宮城、福島のそれぞれのがれきを全て1ヵ所に集めて巨大な「がれき山」を作ってはどうでしょう。

この悲劇を後世に伝えるための象徴として、多くの人命を失ったモニュメントとして、またいかに人間がムダな人工物を作り続けて地球環境を汚しているかという戒めの意味で。まあ、どこに作るかは問題でしょうけど。

なんなら福島原発はどうせ廃炉になるから、チェルノブイリをコンクリートで固めたように、あのがれき(特に放射能汚染されたもの)で固めてしまうとか。

いずれにせよ、汚染されていないがれきを受け入れるのはいいとしても、汚染されたものを拡散させるのだけは賛成できないです。

まあ一番いいたいのは、もっと現実を受け入れて、覚悟を持って取り組んでほしい政治家の人たちなんですけどね。あの1年前の、これから日本はどうなるんだという危機感、不安感という感覚と、あまり切迫感を感じさせないこの人たちの印象とズレがあるもので。